こんにちは、現役理学療法士のホシノといいます。
いきなりですが、僕は理学療法士の養成校に通っている時に、1度実習に落ちました。
落ちた当時は、自暴自棄になり、家にひきこもり、友達からメールの返信もせずに、酒と映画鑑賞に溺れる日々。
時には通っている学校を辞めようと思ったことや、本気で「死」が頭によぎったことが何度もあります。
現在は理学療法士になって7年目。
実習生を指導するCVやSVも経験して、時間が経った今になり、やっと当時のつらさを整理できるようになりました。
もしかしたら、今この記事を読んでいるあなたも実習のつらさに打ちひしがれて、悩んでいるかもしれません。
でも大丈夫です。
たしかに実習に落ちることは大変なことです。周りに人に当たってしまうこともあるでしょう。
だけど人生の長い期間の中で、「実習で落ちて苦しむ時期」なんて、ほんのわずかです。
そして実習に落ちたことで得られることも多いのです。
この記事でわかること
- 実習に落ちてから、這い上がる方法
今回は僕が学生時代に経験した実習のつらさと、それを乗り越えて得たものについてお話します。
リハビリの実習に落ちた経緯【絶望に直面】
僕が実習に落ちた経緯についてお話します。
当時、僕は大学4年で臨床実習も折り返し地点でした。
学校のカリキュラムは、8週間×2回の実習が予定されていて、2回目の実習中の5週目あたりだったと思います。
もともと僕の知識不足や、準備不足もあり、なかなかレポート作成が進まず…。
「本当にやる気あるの?」
「来年からPTになるんでしょ?今のままじゃ無理だよ?」
と何度も言われたことを覚えています。
そしてある日、「もう明日から来なくていいから。学校の先生にも連絡したから今日でおしまいね」と言われて、強制終了。まさに絶望でした。
臨床実習に落ちることは、イコール単位が取れない。
つまり留年確定です…。
僕の学校では例年留年する人も稀だったので、劣等感を感じずにはいられませんでした。
ただし「強制終了」を言い渡された時にちょっとだけ解放感を感じたのも事実です。
・スタッフルームで怒られる毎日
・終わりの見えないレポート作成
・ゴールのわからない評価とプログラム立案
そんな状況で徹夜続きだったので、1週間で6~7kgの体重が落ちたほど。
結果的には「強制終了」でしたが、地獄のような毎日から抜け出せたことに、ホッとしたことを覚えています。
しかし強制終了日のスーパーバイザーからの一言が、いまだに忘れることができません。
「君は理学療法士に向いていないから、他の仕事を探したほうがいい」
「まだ君は若い。他にも選択肢はあるんだから」
そんな言葉で、僕の臨床実習は終了しました。
実習からの燃え尽き症候群【実習2回目】
実習に落ちた後は、しばらく全力で家にひきこもりました。学校にも行かなかったです。
周りの友達が「就活って大変だよね」「国家試験の勉強ってめんどう」という会話している中、その雰囲気に耐えられなかったからです。
とはいえ、2回目の実習は1年後。
「実習はもう嫌」「実習に行きたくない」という感情で支配されていましたが、時間の経過はメンタルを癒してくれます。
心の傷は時間がなんとかしてくれるというのは、恋愛でよく聞く話ですが、まさにその通り…!
大学5年生になった頃には「とにかくやるしかねー」という気持ちで、2回目の実習に突入。
そして8週間×2回の臨床実習を終えて、無事合格しました。
さいわい大学5年目の実習は、1つ目の施設も、2つ目の病院もバイザーとの相性が良かったこともあり、実習は充実したものでした。
その後は燃え尽き症候群からのうつ病なり、心療内科に通ったこともありましたが、無事学校の卒業も決定。
国家試験も合格し、就活も成功させることができました。
ただし就職を間近に控えて、大きな不安がひとつ。
留年したことで、周りになにか言われないか?ということです。
上記でお話したように、僕の学校では留年する人がごくわずか。
途中で学校を辞めてしまう人はいても、僕が大学1~4年の間で留年した人は誰もいません。
そのため「留年=ダメなやつ」「留年=クズ」という先入観があり、とにかく不安でたまりませんでした。
就職すると1年差なんて意味なかった【絶望から学ぶ】
学校を卒業して1年目の間は、ずっとコンプレックスを抱えていました。
4年生の実習から2年以上経っても、強制終了日に言われた「君には理学療法士の資格がない」という言葉が忘れられず、
「自分は本当に良いリハビリを提供できているだろうか?」
「ちゃんと仕事をして職場に貢献できているだろうか?」
そんな疑問がわき、暇さえあれば自問自答していました。
ただし働き始めて1年。いつまでも過去に引きずられてはいけません。
自分は絶対この患者さんをよくするんだと考えて当時、苦手意識を持っていた呼吸器リハビリに勉強に集中。
3年目には呼吸認定士の資格も取得し、そのあと「認定理学療法士」も取得しました。
幸運にも2年目になってケースバイザーを経験し、指導することの「大変さ」も学ぶことができました。
と、ここまでなんとか実習強制終了日から這い上がることが出来たように見えますが、どれも僕の力ではありません。
僕を救ってくれたのは、間違いなく職場の同僚と、患者さんです。
実際に働いてみると
- 大学を2年留年した先輩
- 40歳になってPTを目指した同期
- バツイチで子育てをしながら仕事に頑張る後輩
などいろいろな悩みや苦しみを抱えてきた人がいました。
僕が留年した時は、「別に1年くらい大した差はないよ!」と周りから散々言われましたが、頭で理解していても、どうしても気持ちは納得できませんでした。
いざ臨床の場に出てみると、
- 自分よりつらい境遇を経験した人
- 人生をかけて、セラピストへ転職した人
- 悩みに悩んで悩みぬいてリハビリ職を目指した人
が大勢いました。
そんな悩みと比べれば、僕の「留年」やバイザーから言われた「素質がない」という発言なんて、優しい悩みなのかもしれない。
そして患者さんから救われたのは間違いありません。
トラウマとなったバイザーからは、別の仕事を薦められました。
だけど初めて担当になった患者さんからの今まで親切にしてくれてありがとうねの一言がいまだに忘れられません。
「いつもありがとうね」
「ホシノ君にリハビリしてもらって嬉しいよ」
そんな優しい言葉をかけられると、実習のつらさを乗り越えて本当によかったと今では感じます。
それに高齢者の患者さんからは学ぶことはめちゃくちゃ多いです…!
「戦時中は5歳だったんだけどね、兄弟全員亡くしちゃったんだ」とサラっていうおばあちゃん
「40代の頃に会社立ち上げたんだけど、倒産して家族みんな路頭に迷ってさ~」と笑いながら話すおっちゃん
自分よりつらい経験をしている人は山ほど大勢います。
そんな患者さんたちや同僚と話していると僕の「実習に落ちた」なんて悩みは、小さな悩みだったのかもしれません。
実習に落ちて死にそうになっているあなたへ【絶望の壁を越えろ】
実習に落ちることはたしかにつらいものです。
お金だって余分にかるし、心配もかけます。学費や生活費を工面してくれた親には頭が上がりません。
だけど「実習に落ちた」という、あなたが経験したつらさは、絶対にプラスになります。
苦しみも、悩みも、辛さも経験していない医療職が、患者さんに寄り添えますか?
病院に入院している患者さんや、そのご家族は「今」が一番苦しんでいます。
それに入院中の患者さんと1番長い時間を過ごすのは、ドクターでも看護師でもありません。間違いなくリハビリ職です。
苦しさの種類も大変さも違えど、「本当に死を覚悟まで経験した辛さ」を経験していると、他のセラピストより患者さんに寄り添えるようになります。
そんなセラピストは、患者さんからも信頼も貰えるようになるし、「あなたにリハビリをしてほしい」と言われるようになります。
病気やケガで悩む患者さんを、未来のあなたが救ってあげてください。
まとめ:実習に落ちたらゆっくりゆっくり考えよう
実習に落ちた直後や、僕のように強制終了された後は、なかなか気持ちが戻りません。
でもいいんです。
無理してテンションを上げる必要もありませんし、明るく振舞う必要もありません。
僕のように家に引きこもって、酒に溺れながら映画中毒になるのも悪くないです。
ただし、実習に落ちても「もう死のう」「俺は生きてる価値なんてない」と自分を責めすぎるのは禁物。
言い方は悪いですが、たかが実習です。
学校も実習施設にお金を払っているので、「学校に申し訳ない…」とか責任感を感じすぎる必要もありません!
実習に落ちてしまったのなら、ゆっくり時間をかけて悩みましょう。
「悩まない」ことは無理なので、ぜひのんびり気楽に考えましょう。
そして最後にひとこと。
PTになって7年たち、SVもCVも経験しましたが、やはり当時のバイザーの発言には納得できません。
「君は理学療法士に向いていないから、他の仕事を探したほうがいい」
「まだ君は若い。他にも選択肢はあるんだから」
このように社会人である理学療法士が学生に向かって、進路変更を勧めるのはどうみてもパワハラの極み。
もちろん知識不足がコミュ力不足だった僕の原因もありますが、上下関係が強い学生とPTという立場を考えると、やはり人としてどうなのかと考えてしまうもの。
実習中はパワハラが発生しやすいです。
トラブルがあればすぐに学校に報告
これが鉄則です。
それに学生は世間的にも弱い立場です。
なので泣き寝入りするパターンも多いですが、そんな学生をサポートするのが学校の役割。それにこちらは学費も払っています。
もし実習中にキツイことを言われても、自分が臨床に出たら、同じことは絶対に言わないようにするこのことを意識できると、よりレベルの高いセラピストになれると思います。
実習に落ちてしまった人、実習を控えている人は、ぜひバイザーを踏みだいにして、「人に優しくできるセラピスト」を目指してくださいね。
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