ども!理学療法士をして7年目になるホシノといいます。
理学療法士として働いていると、一度は耳にするのが「認定理学療法士」です。理学療法士協会がオリジナルに作っている制度でして、国家資格ではありません。
しかし、協会としても認定を取得するように声かけしているので、身近に取得する人も多いでしょう。
そこで疑問が残ります。
それは、認定理学療法士って取得する意味あるの?ということ。
この記事でわかること
- 認定理学療法士を取得するメリット、デメリット
- 資格取得をして給料は増える?変わらない?という話
- 認定理学療法士の将来性
認定理学療法士についてはいろいろな議論がありますが、今回は総合病院(急性期→回復期)→訪問リハビリと移り変わった筆者の意見をご紹介します。
参考までに僕は2019年に認定理学療法士(呼吸)を取得しました。


ポイント集めから症例レポートの作成、そして試験…。
初めてのことばかりでかなり大変でしたが、資格取得を通して感じたことをお話していきますよ~!
認定理学療法士は意味がない?メリット3点
結論から言えば、認定理学療法士は「今後もPTとして働いていくなら取得しておくべき」だと思います。
その理由は以下の3点のメリットがあるからです。
- キャリアアップとしてプラスになる
- 転職する時に有利になる
- 知識の習得やスキルの向上に繋がる
それぞれ解説していきます。
メリット1.【差別化】キャリアアップとしてプラスになる

僕の職場では、リハビリ部門の中で部長、副部長、係長といった役職があります。
役職をもらうことで、役職手当てをもらえることはもちろん、履歴書や名刺に書けるといった、PTとしてのキャリア形成に繋がります。
ただし役職につくためには、経験年数だけではなく「認定の取得」や「学会の発表」を義務づけているところもあり、僕の職場も「資格取得」は1つの目安となっています。
それに現在のリハビリ部門の管理職は、40~50代の人がほとんど。
僕の職場でも、トップのPTは50代の人がボスです。
今まではただ経験年数が上がれば、役職や管理職になれたかもしれませんが、ここ最近はPTの人数が急増している状態です。
もしあなたが40~50代になった時にPTを続けているなら、「経験年数」がそれほど大きなプラスにならないかもしれません。
そんな時に「認定理学療法士」を持っているおかげで、役職をもらえるチャンスが増えるかもしれませんし、他のPTの差別化を図ることができます。
理学療法士協会の半田会長もこんなことを言っています。
ー 認定・専門に関しても質問をよく受けるのですが、今後どのようにしていかれるのですか?やはり、持っていると持っていないのでは、差をつける、という考えでしょうか?
(参考:第七回:競争社会を作る【半田一登先生】)半田会長:今、協会として何をしようとしているかというと、認定・専門をとるために何らかの努力をしている人たちを、診療報酬の形としてメリットをつけましょうよ、という交渉をしています。 これは例えですが、簡単に説明すると、脳血管疾患は今200点です。それに対して、脳血管疾患の特別な勉強を行なって、ライセンスを取得した場合、210点。その逆に、それを持っていない人たちが行うと、190点。 トータルの診療報酬で考えると今までと一緒ですよ、と。
つまり増えすぎたPT業界を競争社会にしようする動きもあるので、他のPTとの差別化はこれからめちゃくちゃ重要になると思います。
「経験だけを積んだ平凡なPT」「付加価値のないPT」は今後リストラされる未来もあるかもしれません。
メリット2.【自己アピール】転職の時に有利になる

エンジニアやIT開発に関わる人であれば、転職する時に
「前職では○○を作り、プロジェクトの成功に貢献しました」
「以前、こんなものを作って、会社業績の向上につながりました」
というような自己アピールをすることがよくあります。
営業職であれば「1ヵ月20件の成約をとって、部署でトップ3にはいりました」というように、自分の能力を数字化することもできます。
しかし、理学療法士や作業療法士、リハビリ職は自分の能力をアピールしづらいです。患者さんが自宅退院できたからといって、それがセラピストの力とは限りません。
能力をアップさせることは、リハビリ職として当たり前とも言えます。
ただし認定理学療法士のような「資格」は、手っ取り早く自分の能力をアピールすることができます。
たとえば、
- 経験年数5年のPT
- 経験年数5年で「運動器のリハが得意です」というPT
- 経験年数5年で「運動の認定をもっています」というPT
という3人がいたとき、採用担当はどの人を取りたいのか?という話です。
主観的なアピールよりも、客観的な事実は努力をある程度行ってきたという担保になると思います。
メリット3.【モチベーションアップ】知識の取得になる

認定理学療法士を取得は、知識やスキルの習得に繋がります。
知識の向上は患者さんのために役立つことはもちろん、後輩の指導や勉強会などでも活かせることが多いです。
僕も呼吸の認定を取るために、いろいろな学会や勉強会に参加しました。
「この患者さんで、今一番必要なリハはなんだろう」
「評価で不足している点は他にないだろうか…」
といった臨床で抱える悩みも、引き出しが増えたおかげでより深く試行錯誤できるようになったと感じます。
「自己研鑽」が大切と言われる医療業界ですが、プライベートの充実と勉強の両立はなかなか大変ですよね…。

モチベーションが保てない、勉強が続かないという人には、目標があると頑張れると思います
【お金の話】資格手当て制度がある職場は給料アップが可能です

キャリアアップ?転職の時に有利?給料面はどうなのよ~

苦労して取得しても、給料に影響がないのはちょっとね…
給料面も気になりますよね。
「認定理学療法士」は協会で独自で決めている制度なので、法律的な力はありません。
つまり診療報酬には影響がなく、売り上げが上がることもないので、資格取得=給料アップはすぐには期待できないのです。
「じゃあ、給料は変わらないんだね。意味ないよね」という人もいますが、そんなことはありませんよ!
たとえば職場によっては、独自の資格手当て制度を設けているところもあります。
会社によって差がありますが、資格取得につきプラス5000~100000円ほどの資格手当てを設けているところもあるほど。
認定を2つ取得すれば、1ヶ月プラス20000円。年に24万の収入になります。
また上記でも説明したキャリア形成にも影響していきます。
職場によっては、認定理学療法士を取得したPTが優先的に、役職がもらえるところもあります。
役職手当がつけば、さらにプラス3000~10000円の給料アップも可能。昇給額が低いリハビリ業界では、この昇給は大きいと思います。
最近では増えすぎたPTや、実力があるPTとそうでないPTとの差別化をするために、資格手当てをつける職場が増えています。
認定PTを取得しても、絶対に給料アップしない、ということにはならないのです。
認定理学療法士のデメリットは大きく2つ
ここまで「認定理学療法士は取ったほうがいいよ!」とお伝えしてきましたが、都合の良い話ばかりしていると、協会の回しモノだと思われそうですが、デメリットや面倒な点も結構あります。
認定制度のデメリットは大きく2つ。
- すぐに恩恵は感じられない
- 取得するまでにお金と時間がかかる
簡単に説明します。
デメリット1.すぐに恩恵は感じられない。
言葉通りの意味で、資格を取得しても目に見える変化はありません。最速で受けられる恩恵は、名刺に載せることができて、印象がちょっとよくなるくらい。
僕は訪問リハビリをしているので、たまに別の事務所のPTや、病院で働いているスタッフと話すことがあります(利用者さんの申し送りなど)
その時に名刺を渡すと「認定を持っているんですね~」とすこし印象がよくなるほど。
特別な業務ができることもなく、加算が取れることもないので「認定に魅力を感じない」という意見もうなずけます。
デメリット2.取得するまでにお金と時間がかかる
認定を取得するには、
- 必須研修会、指定研修会を受ける
- ポイントを集める
- 症例レポートを作る
- 試験を受ける
の4つがありますが、結構大変です…。
資格取得は「ポイント、レポート、試験結果を統合して判断する」という協会からのお達しがありますが、レポートに関しては明確な合格基準がわからないので、非常に作りづらいです。
そして上記の4つをクリアする前に、その前提として「新プロ(新人教育プログラム)を終えている」という条件があります。
「新プロの必須研修会は面倒くさい」というのは、とてもよく聞く話。この新プロがダルすぎて認定PTに興味を持たない人も多いように感じます。
「なぜここまで新プロが面倒なのか」と言えば、おそらく協会の思惑と、新人PTの要望のミスマッチが原因でしょう。
新プロを受ける層(PT1~3年目)は、すぐに臨床で使える知識、明日から役に立つスキルが欲しいと思う人が多いです。僕もそうでした。
とはいえ新プロの必須研修会の内容といえば、リハビリテーション概論的な話や、文献集めの話が中心。
理学療法士の歴史や統計の話?そんなことよりも、TKAで使えるROMの技術を教えてくれって話です。
セラピストになって7年経った今では、研究方法といった新プロの大切さがとてもよくわかります。

休みを削って、さらにお金も大量に費さなければいけないことが、「認定取得を目指すネック]になっていると感じます。まぁそれが自己研鑽なのですが…
まとめ:将来的に認定理学療法士の価値は高くなるかもしれない。
記事をまとめると、以下になります。
- 認定理学療法士の取得をしても、急な変化は感じられない
- だけど、キャリア形成や転職する時には確実に役にたつ
- 「俺は勉強しています」と口だけのPTよりも、資格の努力の証明になる
- お金と時間がかかるのがネック
- 特に新プロの終了はやっかい
協会としては、認定理学療法士を診療報酬に反映させたいという狙いがあります。
看護師業界では、認定を持った看護師がいると加算が取れる制度になっています。たとえば「褥創ハイリスク患者加算(500点)」の加算をとるには、「皮膚・排泄ケア」の認定看護師がいなければいけません。
同じように認定PTのおかげで加算が取れるようになったら、病院の売り上げもアップ。
認定を取得した理学療法士の給料も上がることが予想できます。
ただし、それには診療報酬の変更が不可欠。
今よりセラピストの政治家を増やし、リハビリ職を政治的に強くしなければいけません。

政治的なポジションの上げるためには「理学療法士連盟」がいろいろ頑張っていますが、まだまだ課題が山積みのようです
そして協会としては、看護師の認定制度をマネて、認定PT制度を大幅に変えようとする動きもあります。
たとえば資格取得の条件に500時間以上の研修が必要など、現状の制度とは大きな違いがあります。
「登録理学療法士」制度も作り、PTの地位を上げようとする動きもあります。
「認定制度の変更」や「登録制度のスタート」など、まだまだPTの将来はわからないのが現状ですね…。
将来的に認定PTの価値が高まり、職場にいなければいけない存在になるかもしれません。
やはり持っておいて損はない資格だと、僕は思います。

PTになったからには、ぜひ1度、認定の取得を目指してみましょう。
「次に働く場所は、人間関係が良くて、楽しくリハビリできるところがいいな」
「サービス残業はなくて、プライベートをもっと充実させたい!」
と考えるなら、大手の転職サポートサービスをオススメします。
なぜならハローワークや求人誌、有名ではない転職サイトだと、圧倒的に求人情報の量で劣るからです。
くわえて職場の裏側の情報にも詳しいサポーターもいるので、ブラック病院を回避できる可能性が高いです。
こちらのわかがまな条件を通しやすくて、給与交渉もしてくれるので、「自分の意見を強く言うのが苦手…」という方は活用しましょう。
それに転職にした方の成功談、失敗談も事前にわかります。
「転職したけど後悔した…」と失敗しないように、職場探しは情報を集めることがなにより大切です。
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